Lesson 8. 選択的グラフト採取はFUEの大きな利点の1つです!

20歳後半、男性。典型的な”かっぱハゲ”。
FUE:1300グラフト。
若年者でFUEを行う場合、状態の良いグラフト採取と高密度移植が可能となることが多いので、良い結果が得られることが多い。
しかし、将来を考慮した脱毛予防が何より一層重要となります。

つむじ中心と生え際の術前・術後写真

【術前】
HN分類(➡ 男性のAGAのHN分類表をご参考ください。):3v。
3年前からつむじ部の脱毛が気になり、半年間フィナステリドとミノキシジルを服用したが、効果なく中止。脱毛改善目的で植毛術を希望し、当院にご来院されました。
術前の状態を後ろから見ると、つむじ部では頭髪の盛り上がりが見られず、まさに典型的な『かっぱハゲ』の状態です。20歳代でこの状態はかなりキツイ状況です。

一般的に、20歳代の若年者のつむじ部脱毛の場合、薄毛といっても比較的太い毛髪が残存していることが多く、そのため、脱毛治療薬の使用によってかなり改善することが多い。なので、まずお薬で治療継続することが第一選択となります。
しかし、今回の場合、半年間ではあるものの薬剤をトライしています。それでも効果的ではないということは、薬剤治療のみでは、この”かっぱハゲ”は十分に改善しないということを意味しています。
したがって、お皿のように凹んだ頭皮丸出しのつむじ部をさらに効果的に改善させるためには、薬剤だけではなく、3D効果を再現できる植毛術を加えるしかないのです(➡ "かっぱハゲ"の治し方をご参考ください。)

薬剤の使用:半年間フィナステリドとミノキシジルを服用したが、実感なく中止している。
遺伝的素因:父方母方ともに不明です。
ドナーの状態:ドナーの密度は平均的です。
術式の選択:年齢的に問題はなく、ドナー条件も悪くないため、FUEを選択しています。

【手術評価】
移植面積は約40㎠、移植密度30~40グラフト/㎠で移植術を行っています。
FUEの評価:FUEで最も評価すべき検査は毛包切断率です。この例では、毛包切断率(➡ Step3『Proの植毛術』をご参考ください。)は3.6%でした。
また、グラフト損失率は2.2%であり、FUT/ FUSSと比較しても、遜色少なく、比較的良好な結果でした。

【手術結果 - 術後3.5か月目、術後1年目】
20歳代の若年者が術後ミノキシジルを使用すると、術後半年経過すると安定して最終像に近い結果となります。高密度移植をしてしまうと、1ヶ月前後でほとんどの毛髪は抜けてしまいますが、発毛も比較的早く、毛髪の成長速度も早いためです。
術後3ヶ月を過ぎると、写真で見るように大部分の症例では術前の状態より濃くなっています。ただし、患者さん自身は、この状態では増えたとは思ってくれません(実際には増えているのですが)。
しかし、さらに術後6ヶ月を経過すると、ほぼかっぱハゲの状態から脱し、この時期あたりから薄毛をあまり気にしなくなってきます。
術後1年目の結果を見てわかるように、分け目を作ってみても”かっぱハゲ”の部分は無くなってしまっています。写真で示す青矢印の部分を見ると、頭頂部に太い頭髪が加わったことにより、平たかった頭頂部の形がかなり盛り上がった形に改善していることがわかります。これが移植毛による3D効果というもので、”カッパの皿の消失”です。

術前拡大写真

【FUEパワー:選択的グラフト採取はFUEの利点の1つ】
ここから本題に入っていきます。FUEの利点の1つである選択的グラフト採取についてです。特に、つむじの移植に関して言えば、FUEに適応している患者さんにとっては最大の威力を発揮します。

しかし、ここで、この症例の結果を見て不思議に思うことはないでしょうか?
移植密度から考えると、生え際の移植密度と比較しても低く、せいぜい40~50%の移植密度でしか移植されていません。1年後の写真の右側の写真で、クリップで止めた分け目を見ると、脱毛が進行していない前方部分(患者さんにとっては100%の場所)と比較しても、同じか、あるいは、むしろ濃いくなっているように見えます。

どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

それは、パワーのあるグラフト、つまり、しっかりと太い2本毛や3本毛が含まれているグラフトだけを後頭部から摘み取るように採取(cherry-picking)しているからなのです。
これが、1つ1つのグラフトを採取できるFUEの強みなのです。

ただし、この方法がうまくいったとしても、将来的には欠点が出てくる可能性があるため、(➡『 FUEでの選択的グラフト採取の欠点とは?)』をご参考ください。

(2026年2月 K. Yamamoto記)

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